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相続税の基礎知識

相続税の無申告はなぜばれる?把握される仕組みと今からできる対処

「相続税の申告が必要だったかもしれないのに、していない」——期限が過ぎてから気づき、不安なまま検索している方は少なくありません。まず結論をお伝えすると、相続税の無申告は税務署に把握される可能性が高い一方で、税務調査の連絡が来る前に自主的に申告すれば、ペナルティは大きく軽減できます。つまり、今この時点で動き始めることに意味があります。この記事では、税務署が無申告を把握する仕組み、加算税・延滞税の一覧、そして今からできる対処を、国税庁・財務省の公表資料にもとづいて解説します。

結論: 無申告は高い確率で把握される。ただし今からでも軽減できる

国税庁の公表資料によると、令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)には、無申告が疑われる事案に対して650件の実地調査が行われ、その86.5%で申告漏れ等が指摘されました。追徴税額の合計は142億円と、平成21事務年度以降で最も多くなっています(出典: 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」)。

「申告していないことに気づかれないまま終わる」ことを期待するのは、現実的ではありません。

一方で、希望もあります。税務調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は一律5%に軽減されます(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。後述のとおり、放置して調査を受けた場合との差は大きく、早く動くほど負担は軽くなります。

税務署が無申告を把握する主な仕組み

税務署は、相続の発生と財産の状況を、一般に次のような複数のルートで把握しています。

  • 死亡の情報: 死亡届が提出されると、その情報は市区町村から税務署に通知される仕組みになっています
  • 過去の申告情報: 被相続人(亡くなった方)が生前に行った確定申告の内容(所得や不動産収入など)から、おおよその財産規模が推定されます
  • 法定調書: 生命保険金や死亡退職金が支払われると、保険会社や勤務先から税務署に支払調書が提出されます
  • 不動産の情報: 相続登記などの登記情報から、不動産の所有状況が確認されます
  • 国税総合管理システム(KSK): 国税庁は、納税者の申告・納付に関する情報を一元的に管理するシステムを運用しています

こうした情報をもとに、税務署は申告が必要と見込まれる相続人へ「相続についてのお尋ね」などの文書を送っています。令和6事務年度の簡易な接触(文書・電話などによる確認)は21,969件(前事務年度比117.0%)と、公表が始まった平成28事務年度以降で最も多くなりました(出典: 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」)。

「相続についてのお尋ね」が届いたらどうする

税務署から「お尋ね」の文書が届いた場合、あわてる必要はありませんが、対応の基本は次のとおりです。

  1. 放置しない: 回答しないままにすると、実地調査に進む可能性があります
  2. 事実のとおり回答する: 財産を少なく見せるような回答は、後述の重加算税につながりかねません
  3. 申告の要否を確認する: 遺産総額が基礎控除額を超えていれば申告が必要です。判定の仕方は相続税の基礎控除の解説記事で確認できます
  4. 迷ったら税理士に相談する: お尋ねへの回答と期限後申告の準備を、まとめて相談できます

無申告のペナルティ一覧(加算税・延滞税)

無申告加算税

期限までに申告しなかった場合、本来の税額に加えて無申告加算税がかかります。税率は申告のタイミングで大きく変わります(出典: 財務省「加算税制度の概要」国税庁タックスアンサー No.2024)。

申告のタイミング 税率(納税額に対して)
調査通知前の自主的な申告 一律5%
調査通知後〜調査を受ける前 10%(50万円以下の部分)/15%(50万円超300万円以下)/25%(300万円超)
税務調査を受けた後 15%(50万円以下の部分)/20%(50万円超300万円以下)/30%(300万円超)

300万円超の部分に対する30%の区分は、令和6年1月1日以後に申告期限が到来する相続税から適用されています。なお、調査通知前の自主的な申告(5%)には、この30%の区分は適用されません(出典: 国税庁 資産課税課情報第12号(令和6年7月))。

重加算税

財産を意図的に隠す・事実を仮装するなどした場合は、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。過去5年以内にも無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%が加算されます(出典: 財務省「加算税制度の概要」)。

令和6事務年度の調査事例には、家族名義の口座に預金を移して遺産総額を基礎控除以下に見せかけたと認定され、重加算税を含む約4億3千万円を追徴されたケースが紹介されています(出典: 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」)。事実を隠す対応は負担を増やすだけであり、正確な申告を自主的に行うことが、結果的に負担を抑えることにつながります。

延滞税

納付が遅れた日数に応じて延滞税もかかります。令和8年(2026年)の税率は、納期限の翌日から2ヶ月以内が年2.8%、2ヶ月を過ぎた後は年9.1%です。税率は毎年見直されます(出典: 国税庁タックスアンサー No.9205)。

期限後でも「自主的な申告」が有利な理由

前掲のとおり、無申告加算税は調査通知前の自主的な申告なら一律5%で、税務調査を受けた後の15〜30%とは大きな差があります。

たとえば本来の納税額が300万円だった場合、無申告加算税は次のような試算になります(前掲の税率にもとづく編集部試算)。

  • 調査通知前に自主的に申告した場合: 300万円 × 5% = 15万円
  • 税務調査を受けた後に申告した場合: 50万円 × 15% + 250万円 × 20% = 57万5千円

さらに、法定申告期限から1ヶ月以内の自主的な申告で、税額の全額を法定納期限までに納付しているなど一定の要件を満たす場合には、無申告加算税がかからないこともあります(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。

延滞税も日数に応じて増えていくため、対応が遅れるほど負担は積み上がります。「気づいた今が、負担がいちばん軽いタイミング」と考えて動くのが得策です。

今からやるべき3つのこと

  1. 財産をリストアップする: 預貯金・不動産・株式に加えて、生命保険金や死亡退職金、亡くなる前の贈与、家族名義でも実質的に被相続人の財産だった預金(名義預金)まで含めて洗い出します
  2. 申告の要否と期限を確認する: 遺産総額を基礎控除額と比較します。期限の数え方や過ぎた場合の扱いは、相続税の申告期限の解説記事で確認できます
  3. 相続税に詳しい税理士に早めに相談する: 期限後申告や税務調査への対応は、相続税の実務経験が豊富な税理士に依頼すると進めやすくなります。費用の目安は相続税申告の税理士費用の記事で解説しています

申告以外にも手続きが残っていないか不安な方は、相続手続き診断で、ご自身に必要な手続きと期限を確認できます。

相続税の無申告に関するよくある質問

Q. 相続税の税務調査は、どのくらい行われていますか?

A. 令和6事務年度には実地調査が9,512件行われ、その82.3%で申告漏れ等が指摘されています。実地調査1件当たりの追徴税額は867万円でした(出典: 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」)。

Q. 申告期限から1ヶ月以内に気づいた場合はどうなりますか?

A. 法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告し、税額の全額を法定納期限までに納付しているなど、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合には、無申告加算税は課されません(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。

Q. 自主的に期限後申告をした場合、延滞税はかかりますか?

A. 期限後申告では申告書を提出した日が納期限となり、その日までの延滞税をあわせて納付します(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。延滞税は日数が経つほど増えるため、早めの申告・納付が負担の軽減につながります。個別の計算や進め方は、税理士等の専門家にご確認ください。

相続税の申告や対策は、相続に強い税理士への相談が近道です。
紹介・相談は無料。複数の税理士を比較してから決められます。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務助言ではありません。制度は改正されることがあります。実際の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

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