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相続税の基礎知識

相続税の申告期限は10ヶ月|数え方・過ぎた場合のペナルティと対処

「相続税の申告は、いつまでに済ませればいいのだろう」——葬儀や役所の手続きに追われるなかで、多くの方が抱く不安です。結論からお伝えすると、相続税の申告と納税の期限は「相続の開始があったことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10ヶ月以内」です。この記事では、期限の正確な数え方から、過ぎてしまった場合に生じる加算税・延滞税、どうしても間に合わないときの対処法まで、国税庁の公表情報にもとづいて解説します。

相続税の申告期限は「知った日の翌日から10ヶ月以内」

相続税の申告書は、被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に提出する必要があります(出典: 国税庁タックスアンサー No.4205)。

項目 内容
申告期限 死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内
納付期限 申告期限と同じ
提出先 被相続人の住所地を所轄する税務署(相続人の住所地ではありません)

たとえば1月6日に亡くなった場合、その年の11月6日が申告期限です(出典: 同No.4205)。

なお、そもそも申告が必要かどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかで決まります。判定の仕方は相続税の基礎控除の解説記事で確認できます。

起算日の数え方と具体例

期限の数え方で押さえておきたいのは、次の3点です(出典: 国税庁タックスアンサー No.4205)。

  • 起算日は「死亡したことを知った日」の翌日です。同居の家族なら通常は死亡日ですが、疎遠にしていた相続人などは、死亡を知った日が基準になります
  • 期限は10ヶ月後の同じ日付です。1月6日死亡なら、その年の11月6日が期限です
  • 期限の日が土曜・日曜・祝日にあたる場合は、その翌日(税務署の翌開庁日)が期限になります

「亡くなった日から数えて約10ヶ月」と大づかみに覚えつつ、正確な期限日はカレンダーで確認しておきましょう。

納付期限も同じ10ヶ月以内 — 金銭一括が原則

見落としやすいのですが、納税の期限も申告書の提出期限と同じです。相続税は申告期限までに金銭で一括して納付するのが原則で、納付方法には次のようなものがあります(出典: 国税庁タックスアンサー No.4205)。

  • 金融機関や税務署の窓口での現金納付
  • 電子納税
  • クレジットカード納付(決済手数料がかかります)

「申告書だけ先に出して、納税は後からゆっくり」という運用はできません。凍結された預金口座の解約など、納税資金の準備にも時間がかかるため、期限から逆算して早めに動くことが大切です。

期限を過ぎるとどうなる?加算税・延滞税と特例への影響

無申告加算税

期限までに申告しなかった場合、本来の税額に加えて無申告加算税がかかります。税率は、申告するタイミングによって大きく変わります(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。

申告のタイミング 税率(納税額に対して)
税務調査の通知が来る前に自主的に申告 一律5%
調査通知後〜調査を受ける前 10%(50万円以下の部分)/15%(50万円超300万円以下)/25%(300万円超)
税務調査を受けた後 15%(50万円以下の部分)/20%(50万円超300万円以下)/30%(300万円超)

このうち300万円超の部分に対する30%の区分は、令和6年1月1日以後に申告期限が到来する相続税から適用されています(出典: 国税庁 資産課税課情報第12号(令和6年7月))。

延滞税

納付が遅れた期間に応じて延滞税もかかります。令和8年(2026年)の税率は、納期限の翌日から2ヶ月以内が年2.8%、2ヶ月を過ぎた後は年9.1%です。税率は毎年見直されます(出典: 国税庁タックスアンサー No.9205)。

特例が当初の申告で使えないリスク

遺産分割がまとまらないまま未分割の状態で申告する場合、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は適用できません。次章で説明する「分割見込書」を提出しておくことで、後から適用を受け直せる救済措置があります(出典: 国税庁タックスアンサー No.4208)。

なお、申告しないまま放置した場合に税務署がどのように把握するのかは、相続税の無申告リスクと対処の記事で詳しく解説しています。

どうしても間に合わないときの対処法

遺産分割がまとまらない → 法定相続分でいったん申告する

遺産分割協議がまとまらなくても、申告期限は延長されません。この場合は、各相続人が法定相続分(民法で定められた相続割合)で財産を取得したものとして、いったん申告・納税します。

その際、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添えて提出しておけば、期限から3年以内に分割がまとまった時点で、小規模宅地等の特例などの適用を受け直せます。分割の結果、納めた税額が多すぎた場合は、分割を知った日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求(納め過ぎた税金の返還を求める手続き)ができます(出典: 国税庁タックスアンサー No.4208)。

現金で納められない → 延納(分割納付)

金銭での一括納付が難しい場合には、延納という分割納付の制度があります。主な要件は次のとおりです(出典: 国税庁タックスアンサー No.4211)。

  • 相続税額が10万円を超えていること
  • 金銭で納付することが困難な事由があり、その金額の範囲内であること
  • 担保を提供すること(国債・土地・建物・保証人の保証など)
  • 申告期限までに延納申請書等を提出すること

延納できる期間は、財産に占める不動産等の割合に応じて最長5〜20年で、延納中は利子税がかかります。

延納でも難しい → 物納

延納によっても金銭での納付が困難な場合に限り、相続した財産そのもので納める物納が認められることがあります。物納にあてられる財産には順位があり(第1順位は不動産・国債・上場株式等)、こちらも申告期限(納期限)までの申請が必要です(出典: 国税庁タックスアンサー No.4214)。

延納・物納とも「期限が過ぎてから申し込む」ことはできない制度です。納税資金に不安がある場合は、期限より十分前に検討を始めてください。

期限内に終わらせる逆算スケジュール

申告書の作成には、戸籍や残高証明書の収集、不動産の評価など、想像以上に時間がかかります。次のようなスケジュールで逆算するのが現実的です(3ヶ月・4ヶ月の期限以外は一般的な目安です)。

  • 〜3ヶ月: 相続人の確定と財産のリストアップ。相続放棄をする場合は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述します(出典: 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 〜4ヶ月: 準確定申告(亡くなった方の所得税の申告)。相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です(出典: 国税庁タックスアンサー No.2022
  • 〜7ヶ月: 戸籍・残高証明書などの資料収集、不動産の評価
  • 〜9ヶ月: 遺産分割協議と協議書の作成、納税資金の準備
  • 〜10ヶ月: 申告書の作成・提出・納税

死亡直後の届出から相続登記までを含めた全体の流れは、相続手続きの流れを時系列でまとめた記事で確認できます。また、ご自身のケースで必要な手続きを整理したい方は、相続手続き診断もご活用ください。

相続税の申告期限に関するよくある質問

Q. 期限の日が土日や祝日の場合はどうなりますか?

A. その翌日(税務署の翌開庁日)が期限になります(出典: 国税庁タックスアンサー No.4205)。ただし、ぎりぎりの提出は書類の不備に対応できないため、余裕をもった提出をおすすめします。

Q. 遺産分割がまとまらないと、申告期限は延びますか?

A. 延びません。法定相続分でいったん申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくのが基本の対処です(出典: 国税庁タックスアンサー No.4208)。

Q. 期限を過ぎてしまったら、もう手遅れですか?

A. 手遅れではありません。税務調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は一律5%に軽減されます。また、期限から1ヶ月以内の自主的な申告で一定の要件を満たす場合には、無申告加算税がかからないこともあります(出典: 国税庁タックスアンサー No.2024)。気づいた時点で、できるだけ早く動くことが重要です。個別の状況に応じた対応は、税理士等の専門家にご確認ください。

相続税の申告や対策は、相続に強い税理士への相談が近道です。
紹介・相談は無料。複数の税理士を比較してから決められます。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務助言ではありません。制度は改正されることがあります。実際の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

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