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不動産の相続

土地の相続税評価額の調べ方|路線価の見方と評価が下がる主なケース

「相続した土地に、いくらの相続税がかかるのだろう」——その答えを知る第一歩は、土地の相続税評価額を把握することです。結論からいうと、評価額の目安は国税庁の「路線価図・評価倍率表」を使って自分で調べられます。基本の計算式は「路線価 × 補正率 × 地積(面積)」です。相続財産のうち土地は金額構成比で30.2%(令和6年分)を占めており(出典: 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」)、土地の評価は相続税額を左右する重要ポイントです。この記事では、路線価図の見方の手順、計算例、評価額が下がる主なケース、倍率方式の調べ方を順に解説します。

土地の相続税評価額とは?評価方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2つ

相続税を計算するときの土地の価額は、購入価格や売却見込み額ではなく、国税庁の定める方法で評価します。土地は原則として宅地・田・畑・山林などの地目ごとに、次の2方式のどちらかで評価します(出典: 国税庁タックスアンサー No.4602)。

方式 対象地域 計算のしかた
路線価方式 路線価が定められている地域(市街地など) 路線価 × 各種補正率 × 地積
倍率方式 路線価が定められていない地域 固定資産税評価額 × 一定の倍率

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことです。路線価は毎年1月1日時点の価額として定められ、その年分の相続・贈与の評価に用います(出典: 国税庁「路線価図・評価倍率表」)。

評価額のおおよその金額が分かれば、相続税の基礎控除(非課税ライン)と比較して、申告が必要になりそうかどうかの見当をつけられます。

路線価図の見方|国税庁サイトで調べる4つの手順

路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」(財産評価基準書)のサイトで誰でも無料で確認できます(出典: 国税庁「路線価図・評価倍率表」)。手順は次のとおりです。

  1. サイトにアクセスする: 国税庁「路線価図・評価倍率表」を開きます
  2. 年分を選ぶ: 亡くなった年(相続開始年)の分を選びます。令和8年8月時点では令和8年分〜令和元年分および平成30年分が収録されています
  3. 地域を選ぶ: 都道府県 →「路線価図」→ 市区町村 → 地名の順に絞り込みます
  4. 路線価を読み取る: 調べたい土地が面している道路に記載された数字が路線価です

数字の単位や併記されている記号の意味は、路線価図のページ内にある「路線価図の説明」で確認できます。角地のように複数の道路に面している場合は、正面となる路線の判定などが必要になるため、まずは「面している道路の数字を控える」ところまでで十分です。

なお、使うのは必ず相続開始の年分の路線価です。調べる時点の最新年分ではない場合があるので注意してください。

計算例|評価額は「路線価×補正率×地積」で求める

路線価方式では、路線価をその土地の形状等に応じた補正率で調整し、地積(面積)を掛けて評価額を計算します。国税庁タックスアンサーに掲載されている計算例は次のとおりです(出典: 国税庁タックスアンサー No.4602。令和7年4月1日現在法令等)。

計算例: 正面路線価30万円 × 奥行価格補正率1.00 × 面積180㎡ = 5,400万円

補正率の代表例が奥行価格補正率です。道路からの奥行距離が短すぎたり長すぎたりする土地は使い勝手が落ちるため、評価額が下がる方向に補正されます。普通住宅地区の例(平成30年分以降用)は次のとおりです(出典: 国税庁 財産評価基本通達 付表(土地の調整率表))。

奥行距離(普通住宅地区) 奥行価格補正率
4m未満 0.90
4m以上6m未満 0.92
6m以上8m未満 0.95
8m以上10m未満 0.97
10m以上 1.00

また、角地など複数の道路に面する宅地は、側方路線影響加算率や二方路線影響加算率を使って加算する方向の調整が入ります(出典: 国税庁タックスアンサー No.4604)。

こうして算出した評価額から、要件を満たせば小規模宅地等の特例でさらに減額できる場合があります(自宅の土地は330㎡まで80%減額。出典: 国税庁タックスアンサー No.4124)。

評価額が下がる主なケース6つ

同じ面積でも、土地の形状や利用状況によって評価額は下がることがあります。代表的な補正・評価方法は次のとおりです。いずれも要件を満たす場合に適用できるもので、当てはまるかどうかの判定には専門的な確認が必要です。

  1. 不整形地: 正方形・長方形でないいびつな形の土地は、不整形地補正率で減額される場合があります(出典: 国税庁 財産評価基本通達 付表
  2. 間口が狭い・奥行が長い: 間口狭小補正率・奥行長大補正率の対象になる場合があります(同上)
  3. がけ地・土砂災害特別警戒区域: がけ地補正率・特別警戒区域補正率の対象になる場合があります(同上)
  4. セットバックが必要な宅地: 建替え時に道路用地として提供が必要な部分がある宅地は、評価上考慮されます(出典: 国税庁タックスアンサー No.4604
  5. 貸家建付地(賃貸アパート等の敷地): 自用地としての価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)で評価します。各割合は「路線価図・評価倍率表」で地域ごとに確認できます。なお、社宅の敷地は貸家建付地に該当しません(出典: 国税庁タックスアンサー No.4614
  6. 地積規模の大きな宅地: 三大都市圏で500㎡以上、それ以外の地域で1,000㎡以上の宅地は、規模格差補正率による減額の対象になる場合があります。ただし市街化調整区域内の宅地(一定のものを除く)や工業専用地域の宅地など、対象外となる類型もあります(令和7年4月1日現在法令等。出典: 国税庁タックスアンサー No.4609

このほか、賃貸中の一時的な空室の扱い(継続的に賃貸されていた実態があれば賃貸中として扱える場合がある)など、細かな論点も評価額に影響します(出典: 国税庁タックスアンサー No.4614)。

倍率方式の調べ方|固定資産税評価額×倍率

路線価が定められていない地域(郊外や農村部など)の土地は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価します(出典: 国税庁タックスアンサー No.4602)。

  • 固定資産税評価額: 毎年市区町村から届く固定資産税の課税明細書(納税通知書に同封)や、市区町村で取得できる固定資産評価証明書で確認できます
  • 倍率: 国税庁「路線価図・評価倍率表」のサイトで、都道府県 →「評価倍率表」の順に進むと、地域・地目ごとの倍率を確認できます(出典: 国税庁「路線価図・評価倍率表」

自分の土地が路線価地域か倍率地域か分からない場合も、同じサイトで地域を絞り込んでいけば判別できます。路線価図に載っていない地域は倍率方式です。

同じ土地でも税理士によって評価額が変わることがある理由

土地の評価額は、路線価と面積だけで機械的に決まるわけではありません。ここまで見てきたように、不整形地・間口狭小・がけ地・地積規模の大きな宅地など適用できる可能性のある補正が多数あり、どの補正をどう適用するかの判断には財産評価の専門知識と現地確認が必要です。補正の適用に気づかないまま評価すると、本来より高い評価額で申告してしまう場合があります。

相続税の税率は10%〜55%の累進です(令和7年4月1日現在法令等。出典: 国税庁タックスアンサー No.4155)ので、評価額の差はそのまま税額の差につながります。自分で調べた概算はあくまで目安とし、形状にクセのある土地や複数の土地がある場合は、土地評価の経験が豊富な税理士に評価を依頼するのが確実です。

依頼するかどうか迷っている段階なら、税理士必要度診断で目安を確認してみてください。依頼を検討する場合は、相続に強い税理士の選び方相続税申告の税理士費用相場も参考になります。

土地の相続税評価額に関するよくある質問

Q1. 固定資産税評価額と相続税評価額はどう違いますか?

固定資産税評価額は、固定資産税を課税するために市区町村が定める評価額です。相続税の計算では、倍率地域の土地について「固定資産税評価額×倍率」の形で使われます。なお、家屋(建物)は固定資産税評価額に1.0を乗じて評価するため、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります(令和7年4月1日現在法令等。出典: 国税庁タックスアンサー No.4602)。

Q2. 実際に売れる価格(実勢価格)とは違うのですか?

異なります。相続税評価額は財産評価基本通達に基づいて計算する課税上の価額であり、市場で実際に取引される価格(実勢価格)とは一致しないのが一般的です。「売ったらいくらか」と「相続税の計算上いくらか」は分けて考えましょう。

Q3. どの年分の路線価を使えばよいですか?

相続開始(死亡)の年分の路線価を使います。路線価は毎年1月1日時点の価額として定められ、その年分の相続・贈与の評価に用いるためです(出典: 国税庁「路線価図・評価倍率表」)。たとえば年末に相続が発生した場合でも、その年の1月1日時点の路線価で評価します。

まとめ|概算は自分でできる・正確な評価は専門家に

  • 土地の相続税評価額は路線価方式(路線価×補正率×地積)または倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で計算する
  • 路線価は国税庁「路線価図・評価倍率表」サイトで無料で調べられる。使うのは相続開始年分
  • 不整形地・貸家建付地・広い土地など、評価額が下がる補正が多数ある。適用できるかどうかは要件次第

自分で調べた概算で全体像をつかんだら、正確な評価と申告は税理士等の専門家に確認するのが安心です。評価額の妥当性は、そのまま納税額に影響します。

相続税の申告や対策は、相続に強い税理士への相談が近道です。
紹介・相談は無料。複数の税理士を比較してから決められます。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務助言ではありません。制度は改正されることがあります。実際の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

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